神奈川歯大・投資詐欺、新たに5億円被害立件
学校法人神奈川歯科大学の投資を巡る詐欺事件で、横浜地検は新たに、学校法人から5億円をだまし取った疑いが強まったとして、東京都内の投資会社社長を詐欺容疑で立件する方針を固めた。
立件済みの3億5000万円と合わせ、ファンド投資による72億円に上る巨額損失の1割以上は詐欺被害だったことになる。学校法人の前理事が投資会社から多額のリベートを得ていたことも判明。一部の理事と投資会社が、大学の運用資産を意のままにしていた構図が浮かび上がっている。
問題の投資会社は「アルティメイトコンサルティング」(東京都千代田区)。2005年9月〜06年4月、学校法人から5回に分けて計8億円の運用を任された。地検は5日、1回目の1億円について、同社社長の田中潔(62)、経営コンサルティング会社社長大河内修一(65)両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。
学校法人関係者らによると、2人は「未公開株で運用する」と説明していたが、運用したのは8億円の1割未満で、大半は別の投資に流用。田中容疑者は静岡県熱海市の自宅購入、大河内容疑者はゴルフ場建設などに充てていたという。
2人は、運用益が出ているように装った報告書を学校法人に提出していた。地検は、2人が運用する意思がないのに、うその説明をして、2〜4回目の計5億円も詐取したと判断した。
また、同社への追加投資が学校法人の理事会で承認される度に、前総務担当理事の清水利朗被告(71)が田中容疑者に、投資額の10%相当のリベートを要求。受け取ったリベートは数千万円に上るという。
清水被告は、横浜市の投資会社「Y・F・R」社長の大島健之(45)、前財務担当理事の三宅公雄(62)両被告と共に、学校法人から追加投資名目で2億5000万円をだまし取った詐欺容疑で逮捕、起訴された。三宅、大島両被告は運用益の一部3000万円を横領した疑いも持たれている。
前理事2人は同大の先輩、後輩の関係。05年6月に総務、財務の担当理事に就任すると、「理事会は2人に掌握され、2人の提案はすべて通った」(現理事)。
清水被告と大河内容疑者は古くからの知人で、大河内容疑者が、投資先を探していた清水被告に田中容疑者を紹介したという。
(2009年10月23日 読売新聞)
「ずさん運用」神奈川歯大が告訴へ すでに損失52億円
2009年9月7日朝日新聞
学校法人神奈川歯科大学(神奈川県横須賀市)が投資ファンドで運用した資金のうち約66億円について、無断でファンドを解散するなどのずさんな運用があったとして、投資会社などに対し刑事告訴を検討していることが6日、学校法人や関係者への取材で分かった。すでに約52億円の損失を計上。最終的な損失は60億円を超える可能性がある。
捜査当局も背任容疑などを視野に法人幹部らから事情を聴くとともに、資料収集などを進めている模様だ。法人では6月末に理事8人が引責辞任。外部調査委員会を設置して、投資にかかわった理事らの責任についても調べている。同委員会の調査結果を受けて告訴の対象や容疑を詰める。
法人によると、投資は05年度から「減価償却引当特定資産」を原資に複数のファンドで始めたが、07、08年度で計約88億円の損失を出した。法人が投資内容を精査したところ、08年度までに東京、横浜、シンガポールの三つの投資会社を通じて行った計約66億円の投資で、ファンドが無断で解散するなどの不自然な実態が判明した。
法人関係者によると、資産運用は理事会の財務担当理事ら一部理事が主導し、投資先を選んでいたという。この理事らは投資会社3社の幹部らと投資を始める前からつき合いがあったという。投資による損失などで、約145億円(06年度末)だった同資産は約47億円(08年度末)まで減った。
3社のうち、横浜市中区の投資会社は法人の元投資顧問が経営。計22億6500万円を運用したが、運用内容の説明資料や会社の決算書を出さず、運用結果も元顧問がパソコンで作成した書類を出してきただけという。元顧問は取材に「実態はあったが、運用失敗で全額がなくなった」と話している。
05年度に8億円を投資した東京都千代田区の投資会社は08年3月、無断で運用先のファンドを解散。現在は所在不明となっている。
シンガポールの投資会社は別の海外投資会社を法人に仲介。法人は07年3月までに計35億円を投資したが、一度も配当がないまま、ファンドの一部が無断解約されるなどしていたという。同社は取材に「法人の資金を運用した事実はない」と話した。
民間調査会社によると、学校法人神奈川歯科大学は1910年、女性歯科医師の養成を目的とした法人として設立された。歯科大や短大、付属病院などを運営し、学生数は計約1400人(08年度)。資産総額(同)は約322億円。
夢のような投資話…資産つぎ込む 神奈川歯大の巨額損失
2009年9月7日朝日新聞
不透明な資産運用による多額損失が明らかになった神奈川歯科大=神奈川県横須賀市
学校法人神奈川歯科大学(神奈川県横須賀市)が不透明な資産運用などで巨額の損失を出していたことが明らかになった。高配当に誘われ、投資先を十分把握しないまま資金はつぎ込まれていたという。刑事事件に発展すれば、大学の資産運用の失敗としては異例の事態となる。
法人や関係者によると、運用先の選定は理事会で承認されていたが「運用実態について詳しい説明はなかった」(久保田英朗学長)という。
06年夏。シンガポールの投資会社の日本人社長が大学に売り込みに来た。「投資額が倍になると言われた。夢のような話だった」とある法人関係者は振り返る。社長からは「企業再生ファンド」と聞かされたが、どんな企業に投資するかなど具体的な説明はなかったという。
また、ファンドの一部は、理事会に正しく説明されないまま、法人の元投資顧問が経営する横浜市中区の投資会社の社債購入に充てられていた。だが、会社の実態は不明で法人関係者も「社債に価値はないとみている」と話す。
関係者によると、同大では約30億円をかけた新病院の建設などの新規事業が計画されていたが、大幅な見直しが迫られるのは必至という。損失について、法人が正式に職員に説明を行ったのは今年7月になってからだった。
同法人のように資産運用に失敗し、巨額損失を出す私大が昨秋以降、相次いでいる。学内に専門家がおらず、一部の理事や職員に運用が事実上一任されていたり、運用規定を明文化していなかったりするなど、リスク管理態勢が不十分な私大も少なくない。
どの金融商品に投資するかについて国の規定はなく、各大学の判断に任されている。日本私立学校振興・共済事業団の今年1月の調査では、約154億円の損失を出した駒沢大などで問題になったデリバティブ取引は、全国の大学のうち12.8%にあたる69法人が行っていた。また、債券などを組み合わせた金融商品「仕組み債」のうち、元本保証のないものを114法人が保有していた。
私大が高利回りを求めて資産運用に積極的になる背景には、18歳人口の減少や競争激化で経営環境が厳しくなっていることが背景にある。半数近くの大学が定員割れするなか、収入は伸び悩んでいる。特に歯学系は、今年の志願倍率は2.61倍と、05年の5.22倍から大きく減少。経営環境は悪化している。
文部科学省は今年1月、すべての学校法人に対し、金融商品での運用を慎重に行うよう通知。商品の種類や限度額を決める学内規定や運用状況をチェックできる仕組み作りなどの体制整備も求めた。
「歯科医師になって医療に貢献したい」という皆さんの意志を応援できる門戸を開いています。私は、講義の中で本学の学生に「1本の歯の下には意思をもつ人間がいることを忘れないようにしなさい」とよく言います。「医は仁術」という諺がありますが、医療職に就くものにとって大切なことは、専門的知識のみでなく、患者さんの苦痛を共感できる人間性をもち、高い倫理観、使命感をもっていることです。
歯科医師という仕事は、患者さんと1:1で通常、痛みや苦痛を伴う治療を行うことが多いものです。したがって、私たち歯科医師と患者さんの信頼関係が無くては成り立ちません。そこで大切になるのが、歯科医師個人の人間性です。
つまり、本学を志望する皆さんには、心のかよい合う医療を実践できる歯科医師を目指してほしいと思っています。その理由は5年時に実施する臨床実習で切実に実感することになります。豊かな人間性と言うのは、気づいてからすぐに身につくというものでもありません。日々の生活の中で養っていくしか無いのです。実は、在学している間に身につく知識や技術は、歯科医師にとって必要最低限のものです。6年間で学んだ最低限の知識や技術を基にして、卒業後にどれだけ努力するかで、いわゆる「腕の差」というものが出てきます。それが、歯科医師という専門職の世界です。
本学では、歯科医療、歯学研究、介護施設の現場を2年生から体験できる体験実習を開講しています。延べ100名近くの教員が参加する大掛かりな実習ですが、これによって「歯科治療では患者さんとどう接するのか」、歯科大学では「どのような研究がどんなプロセスで行われているのか」さらに介護施設では、「食とコミュニケーション」というテーマで口腔機能の大切さと患者さんとコミュニケーションをとることの大切さを肌で感じてもらうことにしています。そこで得た疑問や体験談をお互いに発表し合うことで、歯科医療人としての人間形成に役立ててほしいと思っています。
専門科目を学ぶ前に、やっておかなければならないことは沢山あります。患者さんという、身体的に弱い立場に陥っている方々を相手にする歯科医師。その勉強を始める皆さんには、この「医療人としての人間性」を6年間かけてじっくり育てていただき、患者さんから信頼される「人間」を目指してほしいと願っています。