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大阪大学豊中キャンパス航空写真
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大阪大学豊中キャンパス周辺地図
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大阪大学吹田キャンパス周辺地図
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理学部とは
 理学部は数学、物理学、化学、生物学に分類される自然科学の諸分野の教育および研究をするところです。それでは自然科学とは何でしょうか。メンデルの法則を例に取りましょう。メンデルは親から子への形質の遺伝についての法則を探るために、自分が勤める修道院の植物園でエンドウの交配実験をいろいろ試みました。そして両親が同じ形質を持っている場合でも孫には両親と異なる形質が現れることを見出しました。さらに彼は観察を続け、エンドウの豆の色と形について、黄色で丸が9、黄色で皺が3、緑色で丸が3、緑色で皺が1の割合で出現するという結果をえました。実際にはこのようなきれいな比に分かれたのではありませんでしたが、何かの霊感でこの美しい比になるのではないかと気づいたのでしょう。これで研究を止めれば単なるデータの集積ですが、メンデルはこの規則的な関係の背景を考察しました。そして、ひとつの形質の遺伝をつかさどる2つの対立する遺伝子という考え方にたどりつき、一方が優性で他方が劣性であり、優性遺伝子と劣性遺伝子が共存するときには優性遺伝子の持つ形質のみが発現するとしました。このようにして見事にエンドウの花の色と豆の形が9:3:3:1の比で出現することを説明しました。
 これで遺伝子の存在が証明されたわけではありませんが、彼は遺伝という自然現象について非常に説得力のあるひとつのモデルを提案したと言うことができます。その後、この彼の仮説は細胞の構造の研究が進む中で実証されていきます。そして現在では遺伝子に関する科学は技術ともなり、遺伝子工学が発展しています。この過程をみると、根源的な問いがいかに重要であるか、またそれに対する解答がいかに単純で美しいものであるかに驚かされます。
 このような例は、他にも多く見られますが、チコブラーエの天体観測データを整理して美しい天体の運動法則を発見したケプラー、およびその天体法則の背後にある更に根源的な万有引力の法則を提唱したニュートンに至る道も科学の発展の典型的な例と言えるでしょう。この力学理論は現在ではアインシュタインの相対性原理やプランク等による量子力学を経て、現代の抽象数学をも巻き込んで大統一場の理論へと進展しています。
 自然科学は、自然現象に内在する根源的な疑問に目をむけ、それをできるだけわかりやすい言葉で説明していくことであると言えます。できるだけ単純に説明するということは、それだけ広範囲な対象を統一的に説明することになります。理学部はまさにこの自然科学を教育・研究する場です。
 大阪大学理学部には、ミクロの世界を追求する素粒子論から、ミクロなものの集合体である物質の性質を物理的あるいは化学的な立場から解明したり、全く新しい性質を備えた物質を創成する物質科学、あるいは宇宙の遠くにある天体を観測したり宇宙そのものの構造を研究する宇宙科学、生物を分子レベルから解明する分子生物学など自然科学の広い分野で世界的に活躍している研究者がそろっています。またそれらを統合する法則を記述する言葉である数学も非常に活発に研究されています。本理学部はこのような自然科学の手法を身につけた人材を一人でも多く社会に送り出すことを願って、自然科学に対する好奇心あふれる皆さんを待っています。
 高度に科学技術が発展した現代社会では多くのことがブラックボックス化してしまっていて、真に新しい分野の開拓の障害になっています。理学部では基礎科学にたいする確かな知識と、物事を解明していく際に必要な方法を身につけた学生を育てますが、このような人材は社会でも高く評価されており、産業界からの人材の需要には完全には対応しきれない状態が続いています。理学部の現状を知りたい人は、毎年8月に行われる大学説明会・公開講座、いくつかの学科で行われる体験入学などの機会を利用して実際に理学部を訪問して下さい。教職員一同歓迎します。


理学部の創設と学風
 大阪大学理学部(以下「理学部」ということにします)には、現在、数学、物理、化学、生物の4学科と、原子核実験施設、分子熱力学研究センターがあり、高い水準の教育、研究活動が行われています。理学部では、権威にとらわれない実力第一主義の教員選考が行われており、そのため、教員の出身大学も多様で、これが自由で活力ある雰囲気を作出する基になっています。学閥意識のない独創性を重んじるこの伝統は、私たちの最も誇りとしているところです。教育でも学生の研究意欲を大事に育てています。このような学風がどのようにして作られたか、創設時の状況を少し振り返ってみましょう。
 大阪大学は、昭和6年に全国で6番目の帝国大学として、府立大阪医科大学が国に移管されてできた医学部と、新設の理学部との2学部で発足しました。このとき理学部が創設された背景には、当時、日本の産業の中枢にあった大阪で、模倣的な工業から脱皮するには「基礎的純正理化学」の力によらなければならないという先見的認識と危機感がありました。ちょうど、第一次大戦や関東大震災後の不況下にあって、その誕生に至る道程は決して平坦ではありませんでしたが、理学部設立のための基金と当初3年間の経常費はすべて地元の負担でまかなわれ、政府の援助は全く受けなかったといわれています。ここに大阪府市民あげての熱意と気骨が感じとれます。
 このようにして、数学、物理、化学の3学科からなる理学部が誕生しましたが、その後の発展の基礎は初代総長長岡半太郎博士の創設の理念と斬新な教員選考とによって築かれたといっても過言ではありません。長岡博士は、当時すでに世界的に著名な物理学者でしたが、理化学研究所でなお研究活動を続けていました。懇請されて初代総長に就任するや、地元の要請をよく理解して、理工学に通じた学者の招へいを構想しました。工科出身で「八木アンテナ」の発明で有名な八木秀次博士(東京帝国大工科電気科卒)を物理学科の主任教授に迎えるという異例の人事はその一例で、これはその後、広い視野で基礎学科の発展に貢献するという理学部の伝統の基礎になりました。
 一方、長岡博士は、当時の理化学研究所の厳しい研究的雰囲気を持ち込み、「純正理学」の面では、若くて清新な研究者を優先的に招へいする方針で選考を進め、既設の帝国大学とはひと味違った理学部をつくりだしました。のちに日本で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士もそのひとりで、当時、学舎の整備も不十分な状態のもとで、板で仕切った研究室や、廊下、食堂など至るところで絶えず研究上の議論がたたかわされていたといわれています。このような状況下で受賞の対象となった「中間子論」が生まれました。また、理学部創設に参画した学者たちの中から、正田建次郎、八木秀次、岡部金次郎、菊池正士、湯川秀樹、真島利行、仁田勇、赤堀四郎という8人もの文化勲章受章者が生まれましたが、これも、他に例を見ないことと思われます。
 半世紀を越える歴史の中で、私たちは理学部創設の精神と伝統を引き継ぎ、絶えず新しい活力を生み出す努力を続けています。とくに因習にとらわれない、自由で生き生きとした雰囲気や独創性を重んじる研究第一主義の伝統は、現在の理学部の活力の大きな支えになっています。理学部に在籍した学者の中には、湯川秀樹博士のノーベル賞の受賞をはじめ、学士院賞、学士院恩賜賞の受賞者が29名、日本学士院会員に選ばれた者が16名もいますが、このことは、創設以来の理学部の活動を物語っているといえるでしょう。この理学部の伝統は教育面にも反映し、他大学、研究所などへはもちろん、各方面に有能でユニークな人材を数多く送り出す要因となっています。


その後の発展と現状
 数学4、物理5、化学5講座の3学科14講座で発足した理学部も、昭和24年に生物学科が、昭和34年に高分子学科が、また平成3年に宇宙・地球科学科が新設され、平成6年には、数学10、物理9、化学10、生物6、高分子5、宇宙・地球科学6講座の学科46講座に成長しました。大阪大学では、平成6年度から教養部が廃止され、入学時から卒業まで一貫教育を行う体制になりましたが、それに伴い旧教養部の理系教員の大部分が理学部に合流し、教育、研究の体制が強化されました。さらに、平成7〜8年の大学院重点化の措置により、理学研究科の専攻が整理統合され、大学院の入学定員が大幅に増えましたが、その際に、理学部の学科も現在の4学科(平成18年度より生物学科は生物科学科に名称変更)となりました。平成19年度の入学定員は、数学47、物理76、化学77、生物25の合計225名です。理学部は、はじめ大阪の中心である中之島に設立されましたが、昭和41年に現在地(豊中地区)に移転しました。
 理学部(理学研究科)附属の施設としては、昭和30年に原子核研究施設、昭和54年に化学熱学実験施設、昭和55年に超強磁場実験施設が設置され、それぞれ国際的に高く評価される特色ある研究活動を行ってきました。このうち原子核研究施設は、その一部を母体として昭和46年に核物理研究センター(全国共同利用)を生み出すことにより原子核実験施設となりました。また、超強磁場実験施設は昭和62年に新設された極限物質研究センター(学内共同利用)の一部となり、このセンターは平成8年に極限科学研究センターに生まれ変わりました。また、化学熱学実験施設は平成元年にミクロ熱研究センターとなり、平成11年に分子熱力学研究センターとなりました。これらはいずれもさらに発展し、現在、大きな活躍をしています。この他にも産業科学研究所や蛋白質研究所など、学内の研究所で、その設立に理学部が重要な役割を果たしたものも少なくありません。これらの研究センターや研究所に属する多くの教員は、主として大学院レベルの教育、研究において現在でも理学部と密接な協力関係を保っています。
 大学院(理学研究科)は、数学、物理学、化学、生物科学、高分子科学、宇宙地球科学の6専攻からなり、学内の研究所、研究センターなどの教員ばかりでなく、国公立や民間の研究機関の研究者も参画して大学院学生の教育、研究指導に当たっています。理学研究科の入学定員は、現在、前期(修士)課程258名、後期(博士)課程126名となっています。現在の新制度による大学院は昭和28年に発足しましたが、それ以来平成16年度末までで、理学修士の学位取得者は6,327名、理学博士の学位取得者は2,739名(課程博士1,939、論文博士800)にものぼっています。旧制度の理学博士学位取得者は621名で、この中には湯川秀樹博士も含まれています。
 なお、科学の急速な進歩に柔軟に対応しうる優秀な人材を育成するには、個性に応じていろいろな道があるのが望ましく、そのような観点から、学部3年生が大学院に入学できる、いわゆる「飛び級」の制度が認められるようになりました。本学理学研究科はこの新しい制度を平成3年3月に実施し、2名を合格させましたが、これは全国で初めてのことです。この制度はその後続けて行われ、すでに34名の学生が3年次から大学院に進学しています。
 また、平成20年度からは、数学・物理学・化学をよく理解して新しい生命理学を開拓する人材や、生物学をもよく理解して数学・物理学・化学を目指す人材を育てる目的で、生物科学科内に生命理学コース(定員30名)が新設されます。
 ところで、理学の急速な発展ならびに科学技術の高度化に対応するために、大阪大学理学部および理学研究科では、現在、大きな改革を行っています。これは、大学院の教育研究を大幅に充実するとともに、学部教育においても創造性と思考の柔軟性を高める工夫をすることにより、理学研究の多様化や学際化に対処しようというものです。具体的には、教養部廃止に伴って、理学部の教員数が、1.5倍に増えたことを受けて、その人材を結集して大学院における教育研究体制を強化しました。これには研究所や研究センター等の教員にも緊密に協力してもらっています。そして、これによって大学院学生の入学定員を2.2倍程度に増やしました。これは、基礎的な理学分野の研究者をもっとたくさん育ててほしいという社会的、国際的な要請に応えるものです。学部教育に関しても、自分で考える余裕をもたせるとともに、少人数セミナーや学部共通の講義を導入するなど、教育内容ならびに方法を新しくしました。科学の多様な発展はますます幅広い基礎科学の知識を要求しています。そこで理学部では15年度よりどの学科に入学しても、まず低学年では理学部共通の専門基礎教育を受け、その後各学科の専門教育を受けるシステムとしました。これにより幅広い基礎学力に支えられた科学の発展が期待されます。また、平成20年度より生物科学科に定員30名の「生命理学コース」を新設し、今世紀に進展が期待される生物科学分野での新しい教育を目指します。このようにして理学のさらなる発展を目指そうと私たちは考えています。
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