実はもう20年近く前、つまりこの大学が前身の短期大学を設立した頃に、西洋医学と東洋医学の融合は注視されていたのです。
ただ、どちらかというと西洋医学の現場にいらっしゃる方たちから若干敬遠されていたのは事実です。それが今ではかなり理解が深まりつつある兆しが見え出しました。
この大学が4大化に踏み切った背景には少子化があるのかもしれませんが、医療現場の変化もあると思います。その意味でニーズに合った大学だといえます。
本学は「社会に役立つ道に生きぬく奉仕の精神」を建学の理念として、18年間の短期大学の時代を経て、平成15年4月に4年制の大学として発足いたしました。
カリキュラムは幅広い選択肢を含めた教養教育科目と東西両医学にまたがる専門教育科目を配置し、きめ細かい教育を目指し、教員の充実を図ってきました。 特に、人間教育の土台となる教養教育に力を注いできたのは、医療人として最も大切なことは、人の心を理解できる豊かな心情を養うことであり、それなしには医療は成り立たないと考えるからであります。
わが国は今、あらゆる分野で大きな転換期を迎えており、教育や医療の現場にも変革の波が押し寄せております。 医療としての鍼灸の歴史を顧みますと、古代中国に端を発し、わが国に伝来してからも千年以上を経て、江戸時代までは鍼灸は漢方とともに、わが国医療の中核として発展してきました。 明治政府が国の医療として、西洋医学を正式に採用してからは、残念にも次第に廃れ、有志の民間医療者により受け継がれてきました。 第二次世界大戦後もその流れは変わらず、鍼灸は医療法とは別に、医業類似行為として規定されております。
しかしながら、現在、わが国では多様な疾患を持つ高齢者が増え続け、疾病構造も多様化し、生活習慣病をはじめとする慢性疾患が増加し、このような状況の中で国民の健康の保持・増進、疾病の予防ないし治療に対しては、現代の西洋医学の高度ではあるが、あまりにも細分化した医療技術や科学的知識だけでは十分対応できず、長い人類の経験と全人的な人間理解に基づいた鍼灸を中心とする伝統医療の重要性が改めて社会的に再認識されてきております。 鍼灸は今では、わが国ではいくつかの大学病院など大病院にも取り入れられ,鍼灸師が現代医療の分野でも重要な役割を果たすようになったことは、大変喜ばしいことと考えています。
このような鍼灸医学に対する強い期待感と時代的要請に応えるために、3年前に4年制大学へと改組転換し、本年度(平成18年)は、大学としての完成年を迎えております。 平成19年は、本学の設立母体である関西医療学園の50周年にあたる節目の年であり、一層の飛躍・発展を図り、社会の期待に応えていきたいと考えております。 来年は、かねてより準備を進めていた鍼灸学専攻の大学院修士課程の設置を実現し、さらには、新たに理学療法科を開設し、一学部(保健医療学部)、二学科(鍼灸学科[東洋医療コースとスポーツトレーナーコース]および理学療法学科)として、大学名も医療系の総合大学を目指して、関西鍼灸大学から関西医療大学に改称し、新たな出発をいたしたいと考えております。
厳しい時代状況の中で、このような大変革を成し遂げていくためには、全学の教職員が目標を共有し、心を一つにして進んでいかなければならないと考えています。 本学で学ぶ学生諸君には、新しい施設・設備や豊かな自然に恵まれた素晴らしい環境の中で、将来に向かって大きな夢を抱きつつ、勉学にいそしんでいただきたいと心から願っております。